実践!社長の財務
給与から考えてみる【実践!社長の財務】第967号
2022.05.16
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
ここ数年、どこの会社に行っても人が採れない、という話題が非常に多いですね。
コロナ禍であっても、一部の業種を除いては、景気のいい状態が続き、人材採用が活発で大手の企業に人が行ってしまっている、というのもあるかも知れません。
あるいは、少子高齢化の影響で、全体として働く人が減ってきており、特に中小零細企業には回ってこない、というのもあるでしょう。
さらには、都心などに人が集中してしまい、都市近郊であっても人が採りづらい状況でもあります。
でも、実は自社の給与が低いので人が来てくれない、という面もあるかも知れません。
それは、人が辞める場合も言えますね。
あるコンサルタントなどは、優秀で会社に残しておきたい人には、1,000万円以上払いなさい、と言っているくらいです。
自社の給与水準は、今のままで本当にいいのか、ということもよく考えてみる必要があります。
とは言え、今の業績ではとてもこれ以上の給与は払えない、という会社が多いと思います。
現実的には、毎年1~2%の昇給しかできていない、という中小企業が多いですね。
たとえば、月に合計1,000万円の給与を払っている会社が5%上げようとすると、月に50万円、年間600万円の給与増となります。
法定福利費などの経費も入れれば、1.5倍の年間900万円くらいの経費が増えることになります。
この900万円を、今の利益で吸収できるでしょうか?
この会社は、給与が年間1.2億円となり、給与が売上の40%とすると、年間売上は3億円となります。
900万円の経費増は、売上の3%に当たることになります。
経常利益率が3%程度だとすると、5%給与を上げると利益は吹っ飛ぶ、という計算になります。
これでは、とても5%も給与を上げられない、ということになります。2.5%の昇給でも、利益は半分吹っ飛びますので、これも厳しいですね。
そのように考えていくと、本当に給与を上げていくのは、それも毎年上げていくというのは、相当厳しいことです。
しかし、これができなければ、新たな人を入れていくことも、人を雇い続けていくことも、できなくなってきます。
給与を上げていくためには、まずは利益率を上げていくことが重要になってくる、ということです。
そのためには、どうしたらよいのか、利益構造を考え直していく必要があります。
仕入れ値を見直す、商品やサービスの内容を見直す、売値を見直す、売り方、売り先を見直すなど、様々なことを考えていかないといけません。
給与を何%上げる、いくら上げるためには、というところから、利益構造を見直していってはどうでしょうか?
編集後記
コロナの感染者も減ったり増えたり、先行きが見通せませんが、社会活動はずい分復活してきているように感じますね。
コロナ前のやり方と、コロナ禍のやり方をミックスしたハイブリッドなやり方というのが、いろいろな面で主流になっていくのではと思いますね。
私どもも以前からやっていたビジネス交流会を明日からいよいよリアルで再開していきます。
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