実践!社長の財務
社長からの借入金【実践!社長の財務】第990号
2022.10.17
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
会社とオーナー個人の関係は、できるだけきれいにしておきたいところですが、オーナー社長からの借入金が多い会社は、結構あるかと思います。
大きな金額になってくると、なかなかこれを返すことができず、そのままになってしまいます。
金利を払わなくても問題はないため、会社の資金繰りがよほど良くならない限り、固定化されてしまうことが多いですね。
催促されることもない、会社にとっては便利な資金調達先というわけです。
普段はそれでも問題はないのですが、オーナー社長が高齢になってくると、だんだん気にかかってきます。
オーナー社長にとってみれば、それは貸付金という財産であり、万が一の場合には、相続財産となってくるからです。
返済できる十分な資金があれば問題ないのですが、返済できる見込みがないと、相続人に相続税の負担だけが重くのしかかってきます。
したがって、オーナー社長からの借入金は、できるだけ早く、生前になくしておくことをお勧めします。
計画的に返済していければ良いのですが、それでは間に合わない場合には、債務免除をしてもらう、という方法もあります。
社長からみれば、債権放棄ということですね。
ただし、債務免除をしてもらった場合は、会社はその分、利益を受けるわけですから、債務免除益という益金を計上することになります。
もちろん、それには法人税がかかってきます。
ただし、このように債務が多い会社の場合は、繰越欠損金がある可能性があります。
債務免除益が立ったとしても、繰越欠損金で相殺することができれば、法人税はかからないことになります。
繰越欠損金や損出しができる資産などがないか、などを考慮しながら、債務免除を考えることになります。
もう1つ気を付けておかなければならないのは、株主への贈与の問題です。
社長以外の株主がいる場合は、債務免除をすることにより、贈与税が発生する可能性があります。
すなわち、社長が債務免除をしたことにより、会社の純資産が増加し、株価が高くなったとしたら、その上がった株式の価額について、社長から贈与を受けたと、みなされる可能性がある、ということです。
ただし、債務超過の会社で、社長が債務免除をしても債務超過が解消できないとしたら、いずれにしても株価はゼロですので、贈与税は発生しません。
オーナー社長からの借入金は、残ってしまうと厄介なものですから、放置せず、できるだけ早く解消しておくことです。
このメルマガの読者の方は、会計を良くしていこう、という意識のある方かと思いますので、あまりそのようなことはないかと思いますが。
編集後記
土曜日は母校立教大学の55年ぶり箱根駅伝出場に大感動しました!そして昨日日曜日は、ホームカミングデー。
年に1回母校に帰ろう、という卒業生による文化祭みたいなものです。
前日の快挙もあって大勢のOB、OGが集まり大盛り上がりでした。母校に浸った2日間でした。
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